秘密保持契約その2

3.秘密情報の定義その2(例外)
秘密情報の定義で、一切の情報を秘密情報とするか、一定の情報のみを秘密情報とするかを問わず、以下のような情報(乙が甲に情報を開示し、甲が秘密保持義務を負う場合を想定)は、秘密情報の定義から除かれることが多くなっており、これらについては、それほど問題はないと思います。
(1)乙が甲に開示した時点で、甲が既に保有していた情報
(2)乙が甲に開示した時点で、既に公知、公用であった情報
(3)乙が甲に開示した以後、甲の故意又は過失によらないで公知、公用となった情報
(4)甲が独自に開発した情報
(5)甲が乙に対する秘密保持義務を負うことなく正当な権限を有する第三者から適法に開示を受けた情報
また、以上に加えて、開示者が開示することに同意した場合なども、秘密情報から除かれるとしている例もありますが、この場合は、一般的には秘密情報の定義から外すのは妥当ではなく、同意した場合は秘密情報であるものの秘密保持義務の例外として開示できる、というかたちで規定すべきです。秘密情報から外してしまうと、その情報については、秘密保持義務の対象になりようがなくなってしまうので、基本的には、誰に、いかなる目的で、どの範囲の情報を開示するのかについて、同意書においてきちんと明示した上で個別に開示を認めるのが妥当だと思います。同意書についても、秘密情報の指定通知と同様に、秘密保持契約書に様式を定めて添付しておけば、簡便に処理できることになります。